中学校の「通知表」が新しくなりました。【親子の学びガイド】

通知表が新しくなって成績のつけ方が変わりました。

ご存知でしたか。
2021年から中学校の通知表が新しくなっています。
お手元にお子さんがもらってきた「通知表」と、これまでの「定期テスト」を置いて、これを読んで頂ければ、新しい成績のつけ方がより分かりやすくなります。

2020年までの「通知表」は、次の4つの観点
・関心・意欲・態度
・思考・判断・表現
・技能
・知識・理解
で、各教科を評価、成績をつけていました。

それが、2021年の中学生(小学生は2020年)から、
・知識・技能
・思考・判断・表現
・主体的に学習に取り組む態度
これら3つの観点で各教科を評価、成績がついています。

大きく変わったのは「関心・意欲・態度」の観点が「主体的に学習に取り組む態度」という言葉でまとめられたことです。
この観点の目標(求める姿勢)は、「知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりするために,自らの学習状況を把握し,学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら,学ぼうとしているかどうか」という意思的な側面を評価するものです。
つまり子どもが自ら学ぶ姿勢が大切だということです。

このあとさらに、新しい通知表の変わった点、そして、2学期以降どのように日々の授業に取り組み、定期テストに臨めばいいのかということについて説明を進めていきます。

子どもたちが、自らが学ぶ姿勢を身につけることが大切です!!
定期テストにおける通知表の評定と基準となる観点は?

新しくなった3つの観点。
2つ目の変化は「知識・理解」の観点から「理解」がなくなり、「知識・技能」という組み合わせに変わっている点です。
各教科等における学習の過程を過した知識及び技能の習得状況について評価を行うとともに,それらを既有の知識及び技能と関連付けたり活用したりする中で,他の学習や生活の場面でも活用できる程度に概念等を理解したり技能を習得したりしているかを評価します。
知識は単に覚えているだけではなく、技能として活用できるようになって理解できるという考えに立っています。

ここまでを中学2年の社会「地理分野」の『中部地方』で例を挙げて説明すると次のようになります。

知識・技能
① 中部地方について、その地域的特色や地域の課題を理解している
② 産業を中核とした考察の仕方で取り上げた特色ある事象と、それに関連する他の事象や、そこで生ずる課題を理解している。

思考・判断・表現
① 中部地方において、産業を中核に設定した事象の成立条件を、地域の広がりや地域内の結び付き等に着目して、他の事象やそこで生ずる課題と有機的に関連付けて多面的・多角的に考察して、表現している。

主体的に学習に取り組む態度
① 中部地方について、よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に追及しようとしている。

『中部地方』の単元には、このような評価規準が設定されています。
「思考・判断・表現」の評価規準に対して「おおむね満足できる」状況の生徒の姿を示した具体例として・・・・

「東海地方で工業が発達した理由について、濃尾平野が広がっていることから、工業用地が確保できる、近くに名古屋港があり高速道路等の交通網も発達していることから、製品の輸送に便利である等、地理的条件と関連付けながら考察したことを、ワークシートに記述している」

このような生徒の姿、取り組みが評価されます。

お子さんのこれまでの定期テストの解答用紙を今一度、見直してください。
合計点の横に「知・技」「思・判・表」「主」と書かれた欄がないか見てください。
これは、「知・技」は【知識・技能】、「思・判・表」は【思考・判断・表現】、「主」は【主体的に学習に取り組む態度】の観点を表しています。

【知識・技能】は、漢字、計算問題、重要語句などを答える問題。

【思考・判断・表現】は、応用問題。社会の資料の読み取りはこの観点の問題です。
国語、社会、理科などで「〇〇〇という語句を用いて30字程度で説明しなさい」といった記述式の問題や英語の英作文の問題もこの観点に基づいた問題です。

【主体的に学習に取り組む態度】は、授業では扱わないが、教科書で学んだことと関連する内容など、子ども自らがどれだけ主体的に取り組んだかが評価されます。
社会や理科の時事問題、英語は教科書の表現を使って自分に関することを英語で表現できることが、この観点に関する問題として挙げられます。

毎日の「学ぶ姿勢」、「目標」を立てて行動する姿が大切です!!

成績=通知表は、「3つの観点」を定期テストだけで測るものではありません。
授業の活動内容(課題、授業プリントの内容)も評価の対象になります。
小学校、中学校では1人1台のタブレット学習が始まっています。
今は、タブレットを使って調べることが中心となっていますが、これからは「知識・技能」を土台として、タブレットを存分に使い「思考」を深めていく、広げていくツールとして学校内・外で使われていきます。
道具は「使用する目的」あってこそ活かされるもの。
上手くこのツールを利用してどのような姿になりたいのか? 何を目的としてこのツールを使うのか? 1人1人の思いは様々です。
今はタブレットの使い方を例にしましたが、親御さん世代に合わせて変換すると・・・
「将来は〇〇の仕事がしたい!!」「今日の授業はを理解するために、しっかり先生の話を聞く!!」と同じことだと思います。

時代は違えど小学校・中学校においては、この「学ぶ姿勢」が最も大切なものだと思います。
『目標はやる気を最大限に引き伸ばす!!』 普段、私の授業の中でよく言う言葉です。
大きな目標を掲げ、その目標のために目の前にあることに全力で取り組む。
そして努力は必ず報われることを、さらに、子どもたちに伝えていきたいです。
保護者の皆さま、子どもの将来に大きな期待、希望をもって、お子様と一緒に様々なことに立ち向かってください。
これからも各ご家庭で、さらに円滑な親子関係が築かれることを信じております。

文:渡邉 智治(Tomoharu Watanebe)
塾講師歴25年以上。愛知県にて学習塾を経営。

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