【早活革命6】AIで「職業」はなくなっても、○○はなくならない?!



社会の急激な変化の中で、進路選択の常識も変化します。
今はいろんなところで耳にする「AI」。
この影響は、どう私たちの仕事に影響するのでしょうか?

本シリーズのキーワード「早活」を提唱する若者キャリアの専門家、古屋星斗氏の「進路選択の新常識(ニューノーマル)」のテーマの講演レポートの第二回目です。
7月に愛知サマーセミナーという企画の中で高校生向けに行われました。

AIやロボットが進化し、我々の生活にどんどん進出してくると、多くの仕事はなくなってしまうとよく言われます。
例えば「タクシーの運転手」という職業は2030年にはなくなるとも言われています。

しかし古屋氏は、そんなに単純ではなく「職業はなくなっても、○○はなくならない」と言います。その内容とは?

●AIやロボットが進化したとき、人間がする仕事とは?


前回は、めまぐるしく変化する社会に合わせて、仕事をしながら、あるいはもう一度学校に入り直すなどして新しい知識や技術を身につけていくことが必要になるとお伝えしました。
例えば、自動運転の技術の進化によって、今と同じような「タクシーの運転手」という職業は2030年にはなくなるとも言われています。
また、セルフレジの導入が進み「レジ係」がいなくなったお店もあります。

一方で、運転手の選りすぐりのお花見スポットをガイド付きで効率よく見られる「お花見タクシー」は、2時間で一万円を払っても乗りたい人が相次ぐと評判のサービスです。
レジを無人化した店舗では、店員は商品の説明や提案に力を入れたり、レジ機械のメンテナンスといった新しい役割を担う人になりました。

技術が進歩しても、AIやロボットができるのは仕事の一部だけ。
人間の仕事はより付加価値を高めたり、新しい技術を効果的に活用するためのコーディネートといったことになっていきます。
2015年のマッキンゼーの研究でも「テクノロジーに代替されるのは仕事の全体ではなく、仕事を構成するタスクの一部。労働時間の45%が自動化可能だが、完全に自動化される職業は5%に満たない」といいます。
つまり、「ジョブ(職業)はなくなっても、タスク(こと)は消えない」のです。

●「嫌なことを粛々と」は、「好きなことを全力で」に絶対に勝てない

Aさんは高校を卒業してすぐに興味のあった機械メーカーに就職し、組立のラインで働くことになりました。
15年ほど勤務した後、研修の一環として東京のAIベンチャーに半年間出向しました。
最新のAI技術を学んだAさんは、組立ラインでの業務にAIを取り入れ、リードタイムを25%も短縮することに成功しました。
好きな職場で15年働き、組立の業務を知り尽くした強みにAIの知識が加わり、最先端のテック人材となりました。

もしもAさんが最初から「これからはAIだ」とAIの勉強をしたのち、現場にAIを持ち込もうとしても上手くいかなかったのではないでしょうか。
ひとつの「こと」を追及した経験があるからこそ、最新技術の生かし方が分かったのでしょう。

1990年代までの就職は、その企業の一員になる就職、就社と言ってもいいでしょう。
それが2000年になり、ひとつの仕事、職業に入職するとか、働きやすい職場で働くということになってきました。

時代に変化が激しいこれからは、自分が得た気付きや強みに注力し、やりたい「こと」に入職する、”こと”就職の時代になっていくと考えられます。
”こと”就職の時代のかんたんなルールは、「嫌なことを粛々と」は、「好きなことを全力で」に絶対に勝てない、ということです。

---講演要約ここまで---


このシリーズでは、誰もが一生学びながら働き続ける時代に向けて、いま、高校生は何に取り組み、どう進路を選んでいくべきかを考えます。


<参考>
古屋星斗 氏(一般社団法人スクール・トゥー・ワーク代表理事、リクルートワークス研究所研究員)

https://schooltowork.or.jp/about-us/#message



愛知サマーセミナー(7月17日18日に名城大学ナゴヤドーム前キャンパス・名経大市邨高校にて行われたセミナーイベント)

https://www.samasemi.net



東京商工リサーチ 企業の平均寿命

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210203_01.html


一般社団法人アスバシ

https://asubashi.org


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「進路サポート」チャンネルでは、子どもたちのキャリア教育等を支援する情報をお届けいたします。

この記事は2021年10月22日現在、一般社団法人アスバシの情報にもとづき中部電力が作成しています。

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