【早活革命5】不安定な時代の進路選択は、マラソンより短距離走型?

社会の急激な変化の中で、進路選択の常識も変化します。
古い常識のままでいると、大きな落とし穴にはまるかも…。

本シリーズのキーワードの「早活」とは、高卒・非大卒人材を、一足早く社会にでて活躍するキャリアのこと。
今まで見過ごされていたメリットに気づいた企業や若者が着実に増えています。
この言葉を提唱した若者キャリアの専門家、古屋星斗氏が、7月に愛知サマーセミナーという企画の中で、高校生向けに講演を行いました。
その内容のポイントを、数回にわけてご紹介します。

一回目は、「学校→仕事→退職」の3ステップの常識が変わるという話です。

●時代の変化は「急激で不連続」


現代は「不連続な変化の時代」と言われています。
大きな社会の変化は少しずつじわじわと起こるのではなく、急激かつ不連続なものです。
コロナ禍で多くの人がそれを実感したのではないでしょうか。

進路選択にも急激な変化が起こっています。
例えば、採用活動にオンラインでの面接などを利用し始めた企業はこの1年で7%から70%と10倍になりました。

2020年にトヨタ自動車が年齢による定期昇給を廃止を発表しました。
日本が守ってきた終身雇用制度とセットだった「長く働いていれば必ず給料が上がる」常識を変えたのです。
多くの企業が30~40代以上の社員を対象に希望退職者を募集することも普通になりました。
会社にとって必要な人材かどうかが、30~40代で決まる時代に突入したと言えるでしょう。
また、企業の平均寿命は23.3年というデータもあります。
「一生勤める会社を選ぶ」という常識は、もはや過去のものになっています。

●「学校→仕事→退職」の3ステップが当たり前でなくなる

これまでの時代は、学校を卒業したら「定年」というゴールまで働き続ける、いわばマラソンのような人生が当然とされてきました。

この変化の激しい時代には、ずっと同じレースを走り続けられるか誰にも分かりません。
むしろこれからは「短距離走」を何度も走る時代と言えるでしょう。

今の時代に求められる仕事を数年続けると社会が変わり、別の技術が必要になります。
その時にはもう一度学校に入り直して新たな知識を身に着け、別の仕事に就く…というサイクルを繰り返すことが当たり前になりそうです。
つまり、「学校→仕事→退職」だったものが、「学校→仕事」のループを「退職」まで繰り返す人生です。

「いい大学に入って、大企業に就職すれば一生安心」という時代はとうに終わっています。

---講演要約ここまで---


このシリーズでは、誰もが一生学びながら働き続ける時代に向けて、いま、高校生は何に取り組み、どう進路を選んでいくべきかを考えます。


●「早活型」の大学進学とは?

「早活」とは、高卒就職を「早く社会に出て活躍する」という視点で再評価する考えとして生まれた言葉ですが、高校生時代に一足早く「社会とつながり、活躍する」という点も含まれています。
つまり、企業へのインターンシップで実践の場で力を磨いたり、高校生の視点を形にする商品開発や社会課題を解決するためのプロジェクトを実施したりする活動も「早活」なのです。

推薦入試では、日頃の学習での「評定」の他に、社会の様々な人々や企業と直接触れる活動を通して、学びたいことと出会う「動機」や「目的意識」、自ら課題に取り組む「主体性」を、面接やプレゼン、小論文等で評価します。
つまり、受験勉強のため「部屋にこもって勉強」ではなく、「部屋から飛び出してインターン」という手も十分ありなのです。
他にも、社会人へのインタビューや、何かのプロジェクトのリーダーをやるとかも。

高校生時代から社会とつながった活動に取り組み、大学にいっても研究やインターンでさらに実力をつけていく。
そんな「早活型」の大学進学の道が、もうひらいているのです。

<参考>
古屋星斗 氏(一般社団法人スクール・トゥー・ワーク代表理事、リクルートワークス研究所研究員)

https://schooltowork.or.jp/about-us/#message



愛知サマーセミナー(7月17日18日に名城大学ナゴヤドーム前キャンパス・名経大市邨高校にて行われたセミナーイベント)

https://www.samasemi.net



東京商工リサーチ 企業の平均寿命

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210203_01.html


一般社団法人アスバシ

https://asubashi.org


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この記事は2021年9月3日現在、一般社団法人アスバシの情報にもとづき中部電力が作成しています。

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